心に残る「火葬式」って…

2014/09/06

これはまだ私が葬祭ディレクターとして働き始めて間もない時のこと…

いつもの様に大事な方を亡くされたご家族様から連絡があり、ご自宅に
御打ち合わせに伺わせて頂きました。

故人様は「銅像」をつくる職人さんで、ご自宅に伺わせていただいた時も
ご自身の作品たちに囲まれながら安らかに眠ってらっしゃいました。

ご子息様は2人。

兄弟で跡を継がれており、「父親が生前から言っていたように
家族だけで質素に式を行いたい…」との事でした。

式は火葬式・直葬(直接火葬場に行き、火葬のみを行う式)でご一般の方には
お知らせすることなく行いましたが、ご長男から一点だけ…

「仕事に一生懸命生きた父親だった。出勤路やアトリエによってから火葬場に
向かいたい…可愛がっていた猫の事も気にしてるかもしれないので(笑)」

…火葬日当日は早めに自宅に集まり、アトリエまでの川沿い、アトリエの中、
可愛がっていた猫との久しぶりの対面を果たして旅立たれました。

その半年後、寄り添ってきた奥様も後を追うように旅立たれ、旦那様と同様に
担当をさせて頂きました。

今までの葬儀・式の形式にこだわらず、故人様が本当に望んでいる形で送り出す。
…もちろん手間やお金をおしんで火葬式にしているわけではないのです。

そんな温かな式を担当させていただき、色々なお別れの形があって良いんだな…と、
改めてそう考えさせられました。

※一周忌で故人様の作品の展覧会を息子さんが主催されました。伺わせていただき、
その時に頂いた…「ありがとう」…は当時の私にとって、この仕事を選んで本当によかった…
そう思わせてもらえる一言でした。